"Undone" (Amazon original) の感想、考察、解説

こんにちは。

今回はamazon original作品である"Undone" (日本語:アンダンー時を超える者ー)

について書きたいと思います。

 

事故

事故

  • メディア: Prime Video
 

 

まずはこのシリーズのイラスト。

はじめにこれを見た時はアニメなのか実写なのか見当がつきませんでした。

 

この作品の映像は特殊で、おそらく実際にカメラで撮影したものを加工して、

イラストチックな仕上げにしている。

そしてところどころに後からイラストなどをCGとして加えて完成させているもの

だと思われます。

 

 

この見慣れないテクスチャーの映像の心地悪さに

徐々に慣れるだろうと思っていましたが、

最後まであまり慣れずに終わりました。

 

この映像に対して批判的な意見を述べている人もいますが、

私はこのユニークな心地悪さがどこか好きです。。。

 

 

さて、映像についての話はおいておいて

あらすじについて。

 

 

あらすじ

主人公のアルマは聴覚に障害を持っている女性。

普段は補聴器を付けて生活をしていて、それを外すと音がほとんど聞こえなくなってしまう。

 

幼いころに大好きな父を亡くし、その後母と妹の三人で過ごしてきた。

 

父の死因についてはあまり知らず、母は何かしらの事情を知っているらしいが

娘たちには多くを語りたがらず隠しています。

 

ある日からアルマは父の姿が見えるようになった。(他の人には見えていない)

 

父が言うには、アルマは時空間を移動できる特殊能力と才能を持っているから

それを訓練することで自由自在にその能力を使えるようになれると。

 

父は自分は交通事故ではなく、他の人に殺されたのでその犯人を突き止めて

さらに、過去に戻ってそれを防いでほしいとお願いします。

 

主人公のアルマは徐々に自由にその能力を使えるようになって最終的に

父が死んだ日に戻ることができて真犯人を突き止めに行きます。

 

しかし、そこで見たのは殺害される父ではなく、

自暴自棄になって教え子の女性と無理心中を図って死ぬ父でした。

 

アルマの中に現れる父は、自分が殺されたわけでは無く、自分が身勝手であったことを

知りアルマに謝って去ろうとしますが、

アルマはその無理心中も防げるではないかと挑戦します。

 

 

そして父が生きている世界線に切り替えて、洞窟での再開を約束する。

ただ、約束の場所に行くが父が来ないということを知って話は終わります。

 

 

考察

このドラマは一瞬、SFチックなお話かと思ってました。

はじめの数話はそう思ってました。

ただ、そう考えると

実際コメント欄で批判的なことを書いている人がいるように

SFやファンタジーにしては面白くありません。

 

しかし、このドラマはもっと深い意味を持つものであると私は考えます。

どちらかというとドキュメンタリーに近いと。

 

主人公アルマの周りの人物は、アルマが体験している時空間の移動や

父の姿が見えていないため、アルマは精神疾患を患っていると考えています。

 

ただ、アルマにしてみればそんなことは余計なお世話です。

 

 

 

このストーリーのメインテーマはずばり統合失調症(Schizophrenia)です。

 

たまに町で独り言を大声で話していたりすると、

私たちはすぐに、あの人はやばい人だ、頭がおかしい、と決めつけてしまいます。

 

ただ、その人たち側に立って考えたことはあるのかどうかということです。

その幻覚、幻聴と呼ばれるものを見たり聞いたりする人たちがどのようなことを

体験しているのかということを映像で再現したものが本作品であると感じます。

(そしてそれを本人、そしてその外側からの立場それぞれに立って

映像として仕上げているため、どちらの立場でも感情が移入できるようになっています。)

 

私たちは、

その人が見ている世界が自分たちとは違うから、

理解できないから、

というだけですぐに病気扱いしたり、狂人扱いしてしまいます。

 

ただ、それはその人たちが見ている世界を見ていない人たちが大多数で、

自分がその大多数にいるというだけのことです。

 

大多数に自分が属しているから自分は正しい自分の見ている世界は正解

そんなことを言うことは決してできません。

 

幻覚を見ている人の世界を外部の人間が否定する権利など、一切ありません。

 

別にどちらが正しいかなど決める必要はないと思います。

結局この世の中は多数派がdominantに支配している構造が多いですが、

その現状に疑問を投げかけているのが本作品であると考えます。

 

 

幻覚幻聴を見聞きする人たちを見ても、これからは

「この人頭おかしい」ではなく、

「この人にはこの人の世界があるのか。どんな世界だろう?」、

そんな考え方になると思います。

 

自分の立場から物事を考えず、相手の立場に立って考える。

別にそれによって理解できるかは別です。

ただ、そのようなマインドを持つことで、心に余裕が生まれ、

少し心が開き、寛大さが増し、

反射的に批判的になってしまうことが防がれるのではないかと思います。

 

 

自分と""であるものを、

自分の中の辞書にないものを、

拒絶するのではなく、

ありのままで受け入れてみる

 

この作品を見ることによって、

そんなことができるような人が増えればと願っております。

 

 

今回の感想、考察は以上です。

まだ見てない方はぜひ見てみてください。

あなたはこの作品で何を感じるでしょうか。

 

 

 

 

私がこのような考えを持ったのは最近、

youtubeで"Schizophrenia"と検索して、実際にその患者と言われている人たちの

映像を記録したものを何個か見たからかもしれません。

なかなかの衝撃でした。

この人たちは何を考えているのか、何を思っているのか。

明らかに自分が見ている世界と違う世界を見ているその人たちに

ショックを受けるとともに、別に個々の世界があっていいではないか、と

思うようになりました。

 

気になった方はぜひ検索してみてみてください。